3R政策とは? 循環型社会をつくる目的と私たちにできること

3R政策とは、経済産業省が提唱する循環型社会を形成するための取り組みのことです。しかし、イメージをしにくいでしょう。ここでは、3R政策について具体的にご紹介します。地球温暖化やごみ問題が深刻化してきている現代において、私たちは3R政策についてもっと理解を深めていかなければなりません。また、3R政策のために何ができるかを考えていきましょう。

  1. 3R政策とは?
  2. 3R政策の目的は?
  3. 循環型社会形成推進基本法が制定された背景
  4. 3R政策のためにできること

1.3R政策とは?

3R(スリーアール)とは、Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の頭文字をとった言葉です。この優先順位で3R政策に取り組み、環境と経済を両立しながら循環型社会をつくっていこうとしています。それでは、一つひとつを説明していきましょう。

1-1.Reduce(リデュース)~廃棄物の発生抑制

経済産業省によると、「省資源化や長寿命化といった取り組みを通じて製品の製造、流通、使用などに係る資源利用効率を高め、廃棄物とならざるを得ない形での資源を極力少なくする」とされています。つまり、不用になったものをごみとして廃棄することを少なくするように、製造や加工、流通などの段階で工夫するということです。

1-2.Reuse(リユース)~再資源化

次にReuseでは、「いったん使用された製品を回収し、必要に応じて適切な処置を施しつつ製品として再使用を図る。または、再使用可能な部品の利用を図る」とあります。簡単にいうと、使用済みでも再び使えるものはごみとして廃棄しないで再利用するということです。

1-3.Recycle(リサイクル)~再資源化

Recycleの場合は、「いったん使用された製品や製品の製造に伴い発生した副産物を回収し、原材料としての利用(マテリアルリサイクル)または焼却熱のエネルギーとしての利用(サーマルリサイクル)を図る」と書いてあります。再使用が不可能だったり、再使用後に廃棄されたりしても、再生資源として再利用することをすすめているのです。

2.3R政策の目的は?

2-1.資源を大切にする社会をつくる

これまでの日本は、大量に生産して消費した後にそのまま廃棄していくことが一般的でした。たくさんのものに囲まれた生活は、とても快適です。しかし、ものをつくるためには資源が必要なのを忘れてはなりません。天然の資源を思う存分使って製造したものをごみとして捨て続けていくと、そのうち資源は足りなくなるでしょう。しかも、ごみを処分するための場所も必要です。ごみを捨てるための最終処分場がいっぱいになっている現状も見過ごしてはいけません。
このような問題を解決するためには、資源を大切にする社会づくりが必要です。天然資源の消費を可能な限り減らすような仕組みを整えなければなりません。そのための取り組みが、3R政策と考えてください。

2-2.ごみを減らしていく

3R政策の中のひとつである「リサイクル」は、今では私たちの生活になじんできたのではないでしょうか。しかし、3R政策はリサイクルだけでは実現できません。リサイクルよりも、ごみを減らす「リデュース」や資源を再利用する「リユース」に力を入れる必要があります。このように、3つのRにも優先順位があるのがポイントです。
環境にやさしい暮らしに関する調査でも、「リサイクル型」よりも「リデュース+リユース型」の方がごみの量だけでなく、資源消費量や二酸化炭素量まで少なくできたという結果が出ています。

2-3.環境と経済を両立し循環型社会を形成する

ごみを増やさないために必要なのは、「使ったら捨てる」という流れを変えることです。使ったものは再利用か再資源化して、ごみを発生しないような循環をつくらなければなりません。つまり、3R政策では循環型社会を形成する必要があるのです。
これまでは、大量にものを生産して当たり前のように廃棄してきました。しかし、これからは廃棄物を減らして、環境と経済を両立する仕組みを整えなければなりません。そのための取り組みが、3R政策です。

3.循環型社会形成推進基本法が制定された背景

平成12年に定められた「循環型社会形成推進基本法」は循環型社会を形成するための基本的な取り組みに関する法律で、3R政策に深いかかわりがあります。この法律があるからこそ、3R政策をしっかりと打ち立てることができました。そこで、循環型社会形成推進基本法が制定された背景を理解しておきましょう。

3-1.廃棄物の発生が増え続けてきた

まず、廃棄物の発生量が年ごとに増えてきたという現状があげられます。廃棄物の発生量を減らすためには、国民一人ひとりがごみ問題に関する意識を高める必要があると判断されました。

3-2.最終処分場の確保が難しい

それから、最終処分場の問題です。ごみを埋め立てる最終処分場は減ってきています。廃棄物の発生量は増加しているのに、最終処分場が確保できないという現状をどうにかしなければなりません。

3-3.不法投棄が問題になっている

そして、不法投棄の増加も大きな理由といえるでしょう。リサイクル活動が普及するとともに、悪質な不用品回収業者も増えてきました。このような業者による不法投棄が問題とされているのです。

4.3R政策のためにできること

4-1.一人ひとりが廃棄物を減らす

まずは、家庭で出るごみの量を減らすように心がけましょう。そして、ごみを捨てる際にはきちんと分別をしてください。各家庭でごみの量を少し減らすだけでも、日本全体として考えると大きな変化になるはずです。
そして、まだ使用できるものはごみとして捨てるのではなく、リサイクルショップやフリーマーケットを通じて他人に譲りましょう。さらに、中古品を購入して再利用することも大切です。
また、リサイクル対象となっているものは再資源化するために、リサイクル業者や不用品回収業者などに回収してもらいます。

4-2.不法投棄を防ぐ

悪質な業者による不法投棄は後を絶ちません。回収したものを山の奥や空き地などに不法に放棄すれば、環境を破壊してしまいます。このような悪質な業者は、正式に許可されていません。家庭の廃棄物を回収するには、「一般廃棄物処理業の許可」が必要です。回収を依頼する業者を選ぶ際には、必ずこの許可を確認してください。

4-3.3R政策に関する取り組みについて理解を深める

国や各自治体では、3R政策のためにさまざまな取り組みを行っていることをご存じでしょうか。残念ながら、あまり多くの人には知られていないようです。そこで、3R政策として行われている取り組みや活動に目を向けてみましょう。そして、少しでも多くの人に広めていくことが大切です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。3R政策について、ご理解いただけたと思います。

  • 3R(スリーアール)とは、Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の頭文字をとった言葉
  • 不要になったものをごみとして廃棄することを少なくすること
  • 使用済みでも再び使えるものはごみとして廃棄しないで再利用する
  • 再生資源として再利用すること
  • 資源を大切にする社会づくりが必要
  • ごみを減らす「リデュース」や資源を再利用する「リユース」に力を入れる
  • 3R政策では循環型社会を形成する必要がある
  • 一人ひとりが廃棄物を減らす
  • 不法投棄を防ぐ
  • 3R政策に関する取り組みについて理解を深める

3R政策に取り組むことは、決して難しいことではありません。今すぐにでも意識を改めて、よりよい社会を形成していきましょう。