NASの処分方法|HDD・SSDのデータ消去と回収先の選び方

古いNASを買い替えたときや、故障して使えなくなったとき、「本体をそのまま回収に出してよいのか」「中のHDDは取り外すべきか」と迷うことがあります。

NASを処分する際は、必要なデータの保存を確認したうえで、内蔵HDD・SSDの消去方法と、本体の引き渡し先を決めます。起動しないNASでもドライブにデータが残っている可能性があり、設定の初期化や共有フォルダーの削除だけでは十分な消去にならない場合があります。

この記事では、処分前の準備、正常に動く場合と故障時の消去方法、回収先を選ぶポイントを解説します。NAS本体の回収と、内蔵ドライブの消去を同じ条件で依頼できるとは限らないため、両方を確認して進めましょう。

  1. NASを処分する前の準備
  2. NASのデータ消去方法
  3. NASの処分先を比較する
  4. パソコンダストへの相談前に
  5. まとめ

この記事はこんな方におすすめです

  • 古いNASや故障したNASを、データを残さず手放したい方
  • RAIDを構成するHDD・SSDの消去方法を知りたい方
  • 本体の回収、送料、消去や証明書の条件を比較したい方

NASを処分する前の準備

データ消去を始める前に、残すデータと手放す機器を決めます。複数のドライブやバックアップ先がある場合は、必要なものまで消してしまわないよう、対象を分けて確認しましょう。

バックアップ先でファイルを開く

NASに残っている写真・動画・業務資料などを確認し、必要なデータは別のNAS、外付けストレージ、クラウドなどへ保存します。コピー完了の表示だけで済ませず、保存先で必要なファイルを開けるか確認してください。専用のバックアップ形式を使っている場合は、復元する方法も確認します。

同じNAS内の別フォルダーへ移しただけでは、本体やドライブをまとめて処分したときにデータを失います。バックアップは処分対象から独立した保存先に確保しましょう。

故障してアクセスできず、ほかにコピーがない場合は、先に復旧の必要性を判断します。必要なデータが残っている間は、初期化・消去・RAIDの再作成を進めないでください。

本体とドライブの処分範囲を決める

本体とすべてのドライブを手放すのか、ドライブを別用途で使うのかによって、依頼する内容が変わります。容量だけでなく、HDDかSSDか、本数はいくつかを確認してください。

  • NAS本体と、装着中のHDD・SSD
  • SSDキャッシュなど、データ保存用とは別に搭載した記憶媒体
  • 以前交換して取り外したドライブ
  • NASに接続していた外付けHDDやUSBメモリ
  • 一緒に手放すACアダプターやケーブル

バックアップ用媒体を引き続き使う場合は、無理に処分対象へ含める必要はありません。手放すもの、再利用するもの、保管するものを分け、消去済みかどうかも記録します。

RAIDとドライブの状態を確認する

RAIDは、複数のドライブを組み合わせて使う仕組みです。RAID 1のように同じデータを複数のドライブへ保存する方式や、データ・冗長情報を分散する方式などがあります。ドライブ故障への耐性も種類によって異なります。【注1】

RAIDの構成を崩すことは、データ消去の代わりにはなりません。1台では通常の方法でファイルを開けなくても、ドライブ上のデータが消えたとは限りません。処分するドライブすべてについて、消去や破壊の対象になっているか確認します。

まだデータを取り出す必要がある場合は、管理画面の構成やエラー表示を記録し、自己判断でドライブを抜き差ししないでください。メーカーの手順や専門家の指示で取り外す場合は、元のスロット番号とドライブの対応を残しておきます。すべてのNASで同じ取り外し手順が使えるわけではありません。

NASのデータ消去方法

まず区別したいのは、設定を戻す初期化と、ドライブに残るデータの消去です。機種の機能と媒体の種類を確認し、正常なドライブと故障したドライブで方法を選びます。

初期化とデータ消去は同じではない

NASのリセットには、ネットワークや管理者設定を戻すもの、ボリュームを作り直すもの、ドライブを消去するものなどがあります。名称だけで判断せず、メーカーの説明で実際の処理内容を確認してください。

たとえばバッファローは、対象のLinkStationについて、通常の削除やフォーマットと「ディスク完全フォーマット」を区別しています。ただし、これは対象製品の案内であり、同じメニューがすべてのNASにあるわけではありません。【注2】

管理画面にログインできなくなったことや、共有フォルダーが見えなくなったことだけでは、消去完了の確認にはなりません。

正常なドライブはメーカーの機能で消去

自分で消去できる場合は、NASとドライブの型番、OSのバージョンを確認し、メーカーが案内する廃棄・譲渡時の消去手順を使います。処理の前提として、ストレージプールなどから対象ドライブを外す操作が必要な機種もあります。

QNAPの公式案内では、バックアップを確認した後、対象ドライブをストレージプールから解放し、Secure Eraseを実行する流れが示されています。対応する消去モードはHDD・SSDで異なり、処理後はドライブごとの完了状況を確認します。【注3】

実行前には、処分しない外付け媒体や別のドライブを選んでいないか確認してください。開始後はメーカーの指示に従い、処理中に電源を切ったりドライブを抜いたりしないようにします。エラー終了したものは、消去済みとして扱わず、別の方法を検討しましょう。

すべての処理が終わったら、対象ドライブの本数と消去結果を照合します。本体を譲渡する場合は、メーカーの案内に沿って、残る設定やリモートアクセス用アカウントとの関連付けも整理してください。

HDDとSSDで消去方法を分ける

HDDとSSDは記録方式が異なるため、同じ上書き処理をすればよいとは限りません。SSDでは、通常の書き込みで直接扱えない領域があるため、対応する消去コマンドやメーカーの機能を使うことが重要です。Kingstonも、通常のフォーマットや一般的な消去ツールと、SSDの内蔵コマンドを使うSecure Eraseを区別しています。【注4】

媒体別に確認する消去方法
媒体 確認する内容
HDD 機種に対応する完全消去・上書き処理、完了確認、故障時の破壊方法
SSD 対応するSecure EraseやSanitizeなどの機能、消去結果、故障時の記憶チップの破壊
交換済み・外付け媒体 媒体ごとの種類と状態、今回の消去・処分対象に含めるか

消去機能の対応状況は、NAS・ドライブ・接続方法によって変わります。消去業者へ依頼する場合も、「HDDの消去に対応」だけでSSDにも対応すると判断せず、媒体の種類を伝えて確認しましょう。

故障時は消去できない原因を分ける

NASが起動しないからといって、内蔵ドライブまで壊れているとは限りません。本体側の故障であれば、適切な機器に接続してドライブを消去できる場合があります。一方、ドライブ自体が認識されない、消去が途中で失敗する場合は、専門業者による物理破壊などを検討します。

物理破壊では、外装や接続端子を壊すだけでなく、データを記録している部分を適切に処理する必要があります。自分で穴を開けたり砕いたりすると、けがの危険があるうえに処理が不十分になるおそれがあるため、HDD・SSDそれぞれに対応した設備を持つ依頼先へ相談してください。

自分で破壊してから送ると、回収条件から外れる場合もあります。破壊方法と、その後の媒体の引き取りを一緒に確認してから依頼することが大切です。

NASの処分先を比較する

NASの処分先は、家庭で使ったものか事業で使ったものか、再利用できる状態かによって選びます。本体の引き取りとデータ消去は別のサービスの場合があるため、費用と対応範囲を分けて比べましょう。

NASの主な処分先と確認点
依頼先 向いている状況 確認したい点
自治体 家庭用NASを地域のルールで処分したい NASの分類、サイズ、手数料、ドライブの扱い
メーカー 対象製品向けの回収窓口がある 型番ごとの受付可否、送料、消去の範囲
買取・リユース業者 動作品を再利用してもらいたい 本体のみで売れるか、消去・初期化、付属品
回収・データ消去業者 複数台や故障品、消去までまとめて相談したい 本体と全ドライブの対応、消去方法、費用、処理記録

自治体はNASの分類を確認する

家庭で使ったNASは、自治体へ型番・大きさを伝え、分別と回収方法を確認します。小型家電の回収品目や方法は市町村ごとに異なるため、「NASなら全国どこでも回収ボックスに入れられる」とは判断できません。【注5】

回収ボックスを使う場合は投入口の寸法も確認し、無理に押し込まないでください。回収されることと、個別のデータ消去を依頼できることは別なので、消去は事前に自分で行うか、対応する業者へ依頼します。

事業で使ったNASは、家庭用の回収方法をそのまま利用できるとは限りません。廃棄する場合の区分や引き渡し先について、自治体・メーカー・適切な処理業者へ確認してください。

メーカー回収や買取は対象製品を確認する

メーカーによっては回収窓口を案内していますが、パソコン向けの回収制度がNASにも使えるとは限りません。メーカー名だけでなく、製品名と型番、家庭用か事業用かを伝えて確認しましょう。

正常に動くNASなら、買取やリユースも選択肢です。ドライブを取り外した本体だけで査定できるか、ドライブを付ける場合にどの消去処理が必要かを確認します。設定の初期化だけで済ませず、保存データの消去と、アカウントの関連付け解除まで終えてから引き渡してください。

業者は消去方法と総額で比較する

業者へ依頼するときは、回収費、送料・出張費、データ消去費、証明書代を分けて確認します。NAS1台にHDDが4本あれば、証明書などの料金がドライブ4本分になる契約もあります。「1台」の単位が本体かドライブかを確認してください。

法人で個人データを扱っていた場合は、処分台数だけでなく、消去対象の型番・シリアル番号、実施方法、作業日、結果を記録できる依頼先が候補になります。証明書の有無だけでなく、実際の媒体と処理記録が対応していることが重要です。

個人情報保護委員会は、不要になった個人データを復元不可能な手段で消去することと、消去を外部委託する場合の必要かつ適切な監督を求めています。法人の担当者は、委託先の作業体制や再委託の有無も確認しましょう。【注6】

パソコンダストへの相談前に

パソコンダストでは、パソコン・周辺機器・ハードディスクなどのリユース・リサイクルを目的とした回収を行っています。NASについては、型番やドライブ構成をもとに、本体の回収とデータ消去の可否を事前にお問い合わせください。

NASは型番とドライブ構成を伝える

取扱い商品にはパソコン周辺機器やハードディスクが含まれますが、NAS本体、SSDを搭載した機種、故障したNASなどを一律の条件で受け付ける案内ではありません。サーバーやHDDの回収対象という記載だけで、ご自身のNASも同条件になると判断せず、発送前に対応を確認してください。

お問い合わせの際は、以下を分かる範囲でお伝えいただくと、必要な確認を進めやすくなります。

  • NASのメーカー・型番・台数
  • 内蔵HDD・SSDの本数と容量、RAID構成が分かればその種類
  • 本体が起動するか、ドライブに故障やエラーがあるか
  • ドライブを装着したまま渡すか、本体だけを渡すか
  • 消去の依頼と証明書発行を希望するか
  • 宅配・持ち込み・出張の希望と、お住まい・事業所の地域

構成が分からない場合は、調べるために無理に分解せず、型番や外観、管理画面で確認できる情報からお伝えください。回収品目の一般的な条件は、取扱い回収商品一覧をご覧ください。

HDDの消去とSSDの対応を分けて確認する

当社では、HDDの論理的なデータ消去や、故障したHDDなどの物理破壊を行い、有料でHDDの消去証明書を発行しています。NASに搭載されたドライブへ適用できるか、SSDにも対応できるかは、機器の情報を伝えて個別に確認してください。

掲載されている消去証明書の発行手数料は、HDD1台につき税込3,300円、物理破壊写真付きは税込4,400円です。これはHDD向けの案内であり、NAS本体1台分やSSDの料金ではありません。最新の条件と申し込み方法は、データ消去のご案内をご確認ください。

回収後のデータ返還はできません。必要なデータの保存や復旧の判断を済ませたうえで、消去を依頼する対象をお伝えください。

無料回収と送料無料を区別する

回収費が無料でも、送料まで無料とは限りません。ハードディスクや周辺機器には、送料をお客様に負担いただく品目があり、送料無料対象品と同梱する場合などで条件が変わります。NAS単体が着払い対象になるとは断定できません。

また、当社はリユース・リサイクルを目的とする回収サービスで、廃棄物の受け入れは行っていません。大きく破損した機器や、自分で破壊したドライブなどは、受け入れ可否を必ず事前に確認してください。宅配が全国対応でも、出張回収は地域や品目・数量によって条件が異なります。

NASの回収可否、内蔵ドライブの消去方法、送料や証明書の条件については、お問い合わせフォームからご相談ください。

まとめ

NASを処分するときは、必要なデータを別の保存先で確認し、手放す本体とドライブを整理します。設定の初期化やRAIDの解除だけでデータが消えるとは限らないため、HDD・SSDに合う方法で消去し、故障で処理できないものは専門業者へ相談しましょう。

処分先を選ぶ際は、本体の回収だけでなく、全ドライブの消去、送料、証明書まで条件をそろえて確認することが大切です。パソコンダストへNASの回収を希望する場合も、型番とドライブ構成を伝え、対応可否の確認を受けてから発送してください。

出典・参考資料