事業系PCの処分はリサイクルへ! 処分前にデータも消去しよう!

会社などで使用した事業系PCは、家庭で使用したPCと処分方法が異なります。なぜなら、事業系PCは産業廃棄物扱いになるからです。また、顧客や取引先のデータが入っているため、きちんとデータを消して処分しなければ情報が流出し会社の信用を失うことになります。最悪な状態にならないためには、データの正しい正気方法を把握しておかなければなりません。

そこで本記事では、事業系PCの処分方法と大切なデータの扱い方について解説します。

  1. 事業系PCの廃棄ルールを知ろう!
  2. 事業系PCのデータ消去を忘れずに!
  3. 事業系PCの処分をメーカーへ依頼する場合
  4. 事業系PCの処分を業者へ依頼する場合
  5. 事業系PCの処分に関してよくある質問

この記事を読むことで、事業系PCの正しい処分方法とデータ消去の仕方が分かります。悩んでいる方はぜひチェックしてください。

1.事業系PCの廃棄ルールを知ろう!

まずは、事業系PCならではの廃棄ルールをチェックしておきましょう。

1-1.家庭用パソコンと違うのは廃棄方法だけじゃない

事業系PCは、法人パソコンまたはビジネスPCとも呼ばれています。事業系パソコンは産業廃棄物扱いになるので、家庭用パソコンとは廃棄方法が違うのが特徴です。基本的に、パソコンはPCリサイクル法によってリサイクルが義務づけされていますが、家庭用パソコンと法人パソコンで大きな違いがあります。それは、PCリサイクル料金です。家庭用パソコンは購入時にメーカーのPCリサイクル料金が上乗せして販売されています。しかし、法人パソコンはPCリサイクル料金が含まれていないため、別途廃棄費用が必要なのです。家庭用パソコンとの違いを、事前に把握しておかなければなりません。

1-2.PCリサイクル法に基づいて処分しよう

PCリサイクル法とは、2001年4月1日に施行された資源有効利用促進法のことです。家電・興業製品は生産者が責任を持って回収・リサイクルすることが義務づけられました。パソコンとディスプレーは対象商品に含まれていませんでしたが、2003年10月の改正時に追加されたのです。パソコンには貴重な資源が含まれているため、リサイクルが必要となります。

1-3.違反すると厳しい罰則が科せられる

産業廃棄物扱いとなる事業系PCは、事業者がリサイクル費用を支払わなければなりません。家庭用パソコンとは違う廃棄方法となるため、面倒に感じる方が多いでしょう。しかし、法律を破ると厳しい罰則が科せられるので注意が必要です。たとえば、不法投棄をした場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円の罰金となります。産業廃棄物の廃棄を安易に考えないように注意してくださいね。

2.事業系PCのデータ消去を忘れずに!

事業系PCを処分する前に、必ずデータを消去する必要があります。なぜ消去が必要なのか、その理由について解説しましょう。

2-1.増える情報漏えいに要注意

顧客情報や企業秘密のデータが外部へ流出すると、信用問題につながります。近年は、処分したパソコンから情報が漏えい・流出するケースが増えているのです。もし、情報が流れてしまうと、会社の経営にも大きく響くことになるでしょう。経営危機だけでなく、企業側の安全配慮義務違反によるトラブルに発展する可能性があります。情報を流された顧客から訴えられるケースも多いため、最悪な事態にならないようデータを完全消去する必要があるのです。

2-2.初期化だけでは消去できない

「初期化すればデータが完全消去できる」と思っている方は、大きな勘違いをしています。初期化はあくまで工場出荷時の状態にするだけなので、PC内に含まれているデータは消去できません。初期化は、データを完全消去した後に行ってください。

3.事業系PCの処分をメーカーへ依頼する場合

メーカーへ処分を依頼する場合の方法と注意点を解説します。

3-1.メーカー廃棄のメリットは安心感

PCリサイクル法に基づき、事業系PCもメーカーによる回収とリサイクルが義務づけられています。メーカーが責任を持って回収からリサイクルまで行うため、国の認定を受けているという安心感が大きなメリットといえるでしょう。不法投棄されたり、間違った方法でリサイクルされたりということがありません。

3-2.主な流れと手順を紹介

まずは、メーカーのホームページを確認し、お客様サポートセンターに回収依頼をしてください。リサイクルの申し込み方法はメーカーによって異なるので事前の確認が必要です。主なメーカーの回収依頼方法を以下にまとめました。

  • Dell:1回収10台以上の場合はDell営業部へ依頼する。9台以下の場合はパソコン3R推進協会へ依頼
  • 東芝:全国主要都市10か所にリサイクル拠点を設置している。東芝IT機器リサイクルセンターで受け付け
  • アップル:アップルリサイクルセンターへ連絡し回収依頼をする
  • Lenovo:パソコン3R推進協会が回収・再資源化を行っている
  • NEC:NECグループサービスセンターでの受け付け

メーカーによっては、台数などでパソコン3R推進協会に委託しているところがあります。パソコン3R推進協会のホームページでは、メーカー窓口一覧回収依頼までの流れが掲載されているので、ぜひチェックしてください。

3-3.費用はいくらぐらいか?

回収・リサイクルにかかる費用は、メーカーや種類によって異なります。一般的な費用は、回収・リサイクル・受付手数料に1,500円、廃棄証明書の作成手数料に1,500円程度が必要になるでしょう。メーカーの中にはPCリサイクルマークがついていれば費用がかからないところがありますが、産業廃棄物の場合は別途管理に関わる費用が必要です。リサイクル料金の目安に関しては、以下を参考にしてください。

  • デスクトップパソコン・ノートパソコン本体:3,000円
  • CRTディスプレイ:4,000円
  • 液晶ディスプレイ:3,000円
  • PCサーバー:4,000円
  • 外付けハードディスク:3,000円
  • スキャナー:3,000円

台数が多く、決められた重量を超える場合は個別見積もりになる可能性があります。詳細はメーカーに問い合わせて確認してください。

3-4.事業系PCの場合はPCリサイクルマークは関係ない

家庭用パソコンでPCリサイクルマークがついているものは、無料回収となるのが基本です。しかし、事業系の場合は産業廃棄物となるため、回収・リサイクル費用はリサイクルマークの有無に関係なく排出事業者の負担となります。ただし、前述したとおり、一部のメーカーでは無料になる場合もありますが、別途、産業廃棄物の管理費用がかかることがあるので注意してください。

3-5.メーカーが回収するのは自社製品だけ

メーカーが回収・リサイクルを行っているのは自社製品に限ります。会社で異なるパソコンメーカーを複数台使用している場合、それぞれのメーカーに回収依頼をしなければなりません。中には、本体とディスプレイのメーカーが別の場合もあるでしょう。回収方法と流れがメーカーによって異なるため、申し込みから回収までに時間と手間がかかる点がデメリットです。

4.事業系PCの処分を業者へ依頼する場合

回収業者へ処分を依頼する際の方法と注意点について解説します。

4-1.時間と手間がかからない

回収業者へ依頼する大きなメリットは、メーカーへ依頼するよりも時間と手間がかからないことです。多くの業者では、さまざまなメーカーのパソコンを回収しています。メーカーごとに申し込む必要もなく、まとめての処分が可能です。即日対応が可能な業者に依頼すれば、すぐに回収してくれるでしょう。さらに、まとめて処分したほうが回収費用がお得になるところもあります。中には、データ消去サービスも行っている業者もあるので、自分たちで消去する手間もかかりません。

4-2.主な流れと手順を紹介

業者へ依頼したい場合は、ホームページまたは電話から無料見積もりを依頼します。事業系PCが1台だけなら直接持ち込みも可能ですが、複数の場合は出張回収を依頼しましょう。自分たちのペースで回収したいときは、宅配回収も利用可能です。宅配回収は全国どこからでもダンボールに詰めて送るだけなので、気軽に利用できるでしょう。

4-3.費用はいくらかかるのか?

業者・台数・種類などによって回収費用が異なります。一般的に、パソコン1台あたり3,000~4,000円で回収しているところがほとんどです。回収費用のほかに、送料や運搬料など手数料がかかるところがあるので事前に確認してください。中には、無料回収を行っている業者があります。パソコンダストでは対象品目15台から出張回収が利用でき、全国対応の宅配回収では対象商品が1点でも含まれていれば送料が無料です。対象商品には、ノートパソコン・デスクトップパソコン・ゲーム機・スマホ・液晶モニターなどがあります。

4-4.業者選びのポイント

どの業者に依頼すべきか迷ったときは、以下のポイントに注目して複数の業者を比較してください。

  • 回収方法が選択できるか
  • 産業廃棄物収集運搬許可を取得しているか
  • 事業系PCの回収を行っているか
  • 送料など手数料がかからないか
  • 無料見積もり・無料相談を受けつけているか
  • 無料回収が可能な理由が記載されているか
  • 口コミ・評判がいいか

4-5.無料回収の理由をチェックしよう

無料回収業者の中には、「後で手数料を請求する」など不正を働く業者が存在しています。悪徳業者を見極めるコツは、無料回収の理由がきちんと記載されているかどうかです。パソコンダストの場合は、回収しているものをメンテナンス・修理を行い、中古品として再販しています。中古品としての需要がないものも資源として再販しているため、無駄なコストをかけません。だからこそ、無料回収が可能なのです。理由がきちんとホームページ等に記載されている業者なら、安心して依頼できます。

5.事業系PCの処分に関してよくある質問

事業系PCの処分に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.依頼から廃棄証明書が発行されるまでどのくらいかかるのか?
A.メーカーや台数で異なりますが、1か月程度の期間をみておいたほうがいいでしょう。申し込みから輸送伝票が送られてくるまで数日かかり、廃棄するパソコンを自分でこん包しなければなりません。また、輸送会社に希望回収日を伝え回収してもらうまでにも時間がかかるでしょう。素早く処分したい方や急を要する場合は、業者への依頼をおすすめします。

Q.自分で行うデータ消去法は?
A.データ消去専用のソフトを使用するか、物理的にハードディスクを破壊する方法があります。物理的に破壊する場合は、ハードディスクをパソコンから取りはずす手間と時間がかかるでしょう。そのため、おすすめはデータ消去専用のソフトを用いた論理的消去です。記録しているデータに何らかのデータを上書きすることで、もとのデータを削除することができます。

Q.業者へデータ消去を依頼する際の注意点は?
A.できれば、データ消去証明書の発行を依頼してください。発行手数料がかかる可能性がありますが、「データを消去しました」という証明書となるのでトラブル防止につながります。業者との間で、「データが消去されていなかった」などトラブルが起きているため、データ消去日・方法・パソコンの型番などが記載された証明書が重要です。

Q.買取に出すことはできるのか?
A.発売されてから5年以内のパソコンであれば、事業系PCでも買取を行っている業者があります。ただし、必ずしも売れるとは限らないので注意してください。また、買取の場合も、事前にデータを消去する必要があります。

Q.周辺機器の処分方法は?
A.メーカーの中には、事業系PCの周辺機器も回収しているところがあります。事前にホームページやサポートセンターに問い合わせて確認しておきましょう。周辺機器を回収してもらう際にもリサイクル料金がかかるので、見積書を確認しておかなければなりません。

まとめ

いかがでしたか? 家庭用パソコンとは違って、事業系PCは産業廃棄物となります。産業廃棄物もメーカーに回収を依頼することになりますが、PCリサイクルマークの有無関係なく、産業廃棄物関連の手数料がかかるので注意が必要です。台数など条件によっては、パソコン3R推進協会に委託しているメーカーもあります。まずは、パソコンメーカーに問い合わせて確認しましょう。複数のメーカーを処分したい・すぐに廃棄したい場合は、回収業者への依頼がおすすめです。