トナーの回収・廃棄方法を徹底解説! 各方法のメリット・デメリット

トナーは、プリンターで印刷する際に必要不可欠な消耗品です。トナーがなくなれば印刷できなくなるため、新しいものに交換しなければなりません。そこで問題となるのが、トナーの廃棄方法です。使用済みトナーは自治体で回収してもらえるのか、それともメーカーによる回収となるのか、悩んでいる方が多いのではないでしょうか。廃棄方法が分からないまま処分すると、不法投棄などトラブルに発展するおそれがあるので注意が必要です。スムーズに処分するためには、きちんと正しい廃棄方法を把握しておかなければなりません。本記事では、使用済みトナーの廃棄・回収のポイントについて解説します。

  1. 使用済みトナーはどう処分すべき?
  2. 使用済みトナーの回収方法
  3. 使用済みトナーの廃棄の注意点
  4. 使用済みトナーの回収・廃棄に関してよくある質問

この記事を読むことで、使用済みトナーの正しい回収方法が分かります。悩んでいる方は、ぜひチェックしてください。

1.使用済みトナーはどう処分すべき?

使用済みトナーを廃棄する前に知っておきたい内容を解説します。間違った方法で捨てようとしていないか、見直しましょう。

1-1.不燃物として出せるのか?

トナー(トナーカートリッジ)は、一般ゴミとして捨てることができません。なぜなら、粉じん爆発が起こる危険があるからです。そもそも、トナーとは、プラスチック粒子に顔料などの色粒子を付着させた粉が含まれています。トナーを使い切った状態だとしても、中に粉が残っているのです。トナーに使われているプラスチックも、処理を行う際に粉が発生するので粉じん爆発の危険があります。よって、安全を確保するためにも、トナーは自治体で捨てることができません。誤って、燃えないゴミとして出さないように気をつけてください。

1-2.どんな回収方法があるの?

トナーは以下のような方法で捨てることができます。

  • 家電量販店の回収ポスト
  • メーカーの引き取り
  • トナー販売業者による回収
  • 産業廃棄物として廃棄
  • 不用品回収業者による回収
  • ベルマーク運動で回収

家庭から出るゴミと企業・工場から出るゴミは、分類が異なるので注意が必要です。企業・工場などから出るゴミは、すべて「産業廃棄物」となります。上記の回収方法の詳細に関しては、後ほど【2.使用済みトナーの回収方法】で説明するのでぜひチェックしてくださいね。

1-3.リサイクルの取り組みをチェック!

日本では、ゴミの量の減少、環境保全のために「リユースリサイクル」が推進されています。トナーもリユースリサイクルの対象で、各メーカーはリサイクル製品として回収を行っているのです。
回収されたトナーは、中に含まれる粉を除去・洗浄し、処理を行ってから純正品と同量のプラスチックや粉を再度入れます。これが、「リサイクルトナー」と呼ばれるものです。リサイクルトナーは純正品に比べて非常に価格が安く、再生品なので地球にやさしくエコである点がメリットと言えるでしょう。また、メーカーが生産終了した型番でも購入でき、年々品質も向上しています。

2.使用済みトナーの回収方法

それでは、使用済みトナーの回収方法を詳しく説明します。それぞれの方法とメリット・デメリットを把握し、適した方法で廃棄しましょう。

2-1.家電量販店の回収ポスト

家電量販店の入り口や、トナー・インクリボン関連の販売コーナーなどに、「回収ポスト」というボックスが設置されています。回収ポストに使用済みのトナーを投函(とうかん)するだけです。処分費用が一切かからない点が大きなメリットでしょう。近くの家電量販店に立ち寄る際は、回収ポストがないか、事前に確認しておくとスムーズに廃棄できます。

2-2.メーカーの引き取り

トナーの製造を行っているメーカーによる引き取りが可能です。引き取り方法は、メーカーで異なるので注意してください。ほとんどの場合は、全国にある回収拠点へ持ち運ぶか、メーカーに送付する方法となります。中には、専用の回収箱を取り寄せ、その箱に入れてメーカーまで送る場合もあるのできちんと確認しておきましょう。たとえば、「Canon(キャノン)」の場合は、以下のような方法があります。

  • 訪問回収サービス:使用済みトナーの無料訪問回収サービス
  • 回収拠点:全国に設置された回収拠点への持ち込み
  • 集合回収専用箱:カートリッジの数が多い場合は、回収専用箱を送付する
  • ベルマーク回収:学校単位でまとめて回収し、ベルマーク点数と交換する

各メーカーで処分方法と流れが異なるため、事前にホームページ等で確認しておきましょう。そのメーカーが製造したトナーであれば、無料回収が可能です。

2-3.トナー販売業者による回収

トナーを販売している業者でも回収を行っています。トナー販売業者による回収は、ホームページから、またはFAXで回収の申し込みをするのが一般的です。ほとんどの販売業者のホームページで回収方法が記載されているので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。廃棄費用をかけずに処分できることがほとんどですが、念のために処分にかかる費用も確認してください。

2-4.産業廃棄物として廃棄

会社や工場などから出たゴミは「産業廃棄物」となります。一般のゴミとして捨てることができないため、産業廃棄物の場合は自治体指定の産業廃棄物業者へ回収を依頼するのが一般的です。ただし、トナー粉が残留していることが多いので、回収を拒否する業者があります。産業廃棄物回収業者へ依頼する際は、トナーの回収が可能か事前に確認したほうが良いでしょう。

2-5.不用品回収業者へ依頼する

「ほかの不用品と一緒に処分したい」「持ち運びが難しい」という方は、不用品回収業者を利用すると良いでしょう。不用品回収業者は、使用済みトナーはもちろんのこと、家具・家電・衣類など多種多様な不用品の回収が可能です。使用済みトナーと一緒にプリンター・コピー機などを廃棄したい場合も、不用品回収業者へ依頼してください。ほとんどの業者が出張回収を行っているため、運搬の必要がなく手間と時間がかかりません。ただし、処分費用がかかるというデメリットがあります。不用品の種類・量・大きさなどで異なりますが、目安は1,000~3,000円です。あくまで目安となるため、詳細は業者へ無料見積もりを依頼してください。

2-6.ベルマーク運動で回収

小学生の頃、ベルマークを集め先生へ提出したという経験がある方が多いのではないでしょうか。実は、このベルマーク運動を活用して使用済みトナーが処分できます。ベルマーク財団は、運動の一環としてトナーの回収を行っているのです。ベルマーク財団に専用回収箱を請求し、箱がいっぱいになったら回収センターへ回収依頼をします。
すると、ベルマークの点数が発行され、点数証明が送付される仕組みです。ベルマークの対象製品の型番や、点数はメーカーで異なるのでホームページ等で確認してください。たとえば、「キャノン」の場合は、使用済みトナーが50点となります。
ただし、チラシや箱に印刷されている「キャノンベルマーク回収」のマークは点数になりません。切り取って送付しても意味がないので注意してください。一般的に、ベルマークを切り取って回収しますが、カートリッジの場合はあくまで、使用済みトナー本体が点数対象です。

3.使用済みトナーの廃棄の注意点

使用済みトナーの廃棄の注意点をまとめて紹介します。

3-1.不法投棄はNG

「面倒だから」「時間がないから」と、一般ゴミとして捨てたり不法投棄をしたりしてはいけません。前述したとおり、使用済みトナーの中には少量の粉が残っています。これらの粉が爆発を起こす原因となるため、正規の方法で処分しリサイクルを行うのが大切です。回収されたトナーは、リサイクルトナーになったり、リサイクル工場でパーツごとに分解され新しいカートリッジに生まれ変わります。地球保全のためにも、絶対に不法投棄をしないでください。

3-2.各メーカーの指示に従う

使用済みトナーから残留の粉を取り出し、自分で中身を交換する方がいます。しかし、自分で中身を入れ替えると、本体内部の廃トナーが飛び散り故障の原因となるので注意が必要です。メーカーの中には、「必ず新品のトナーを使ってください」という指示があるため、使用済みトナーはメーカーに回収依頼をするなど各メーカーの指示に従いましょう。
また、各メーカーで回収対象の型番が決まっています。ホームページ等に記載されているので、必ず確認してください。分からない場合は、メーカーのお客様サポート窓口へ問い合わせましょう。

3-3.必ず専用回収箱を使用する

メーカーやベルマーク運動で回収を依頼する際は、事前の申し込みが必要です。申し込むと専用回収箱が送付されるので、必ずその箱を使用してください。自分で用意した箱による回収はできないため、注意が必要です。「箱代・送料がかかるのでは?」と不安になる方が多いですが、メーカーの負担となるケースがほとんどなので安心して処分できます。また、箱・袋にまとめている場合は、それらを取りのぞいて本体そのままを回収箱へ入れましょう。

4.使用済みトナーの回収・廃棄に関してよくある質問

使用済みトナーの回収・廃棄に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」とは?
A.使用済みトナーやインクカートリッジなど、回収から再資源化までのリサイクル活動を推進するために始まった運動です。「ブラザー」「キャノン」「デル」「エプソン」「日本HP」のプリンターメーカーが共同で運営し、回収したトナー等をリサイクルします。回収箱は、自治体の施設や全国約3,600の郵便局などに設置されているので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。回収後はメーカーごとに仕分けを行い、責任を持ってリサイクルするため、安心して処分できます。

Q.リサイクルトナーはメーカーで回収してもらえるの?
A.基本的に、メーカーが回収するのは「純正品」です。リサイクルトナーは純正品ではないため、メーカーによる回収ができません。そのため、ほかの方法で処分してください。たとえば、不用品回収業者は、純正品とリサイクルトナーどちらとも回収が可能です。大量のリサイクルトナーをまとめて処分したい場合は、回収業者へ依頼したほうがスピーディーに処分できます。

Q.自分でトナー粉を補充してはいけないの?
A.「処分が面倒だから」と、自分で新しい粉をトナーへ補充する方がいます。自分でトナーを補充することは可能ですが、トナー粉が飛び散って汚れたりほかの部品を壊したりするおそれがあるのでおすすめしません。安全に使いたいのなら、きちんと正しい方法でリサイクルにまわすのが1番です。

Q.使用していないトナーの廃棄方法は?
A.未使用のトナーを処分したいときは、「廃棄」ではなく「売る」という選択肢があります。不用品回収業者の中には、処分と買い取りを実施しているところがあるので利用してください。使用済みトナーは処分し、未使用のトナーは買い取ってもらえれば処分費用が節約できます。いくらで売れるのか、査定を依頼し確認すると良いでしょう。

Q.不用品回収業者の選び方が知りたい
A.回収実績があるか、スピーディーかつ丁寧な対応か、無料見積もりや査定を行っているかなど、さまざまな点を比較しましょう。比較することで、最も低費用で処分できる業者が分かります。また、産業廃棄物を処分する際は、「産業廃棄物収集運搬許可」を取得しているかも要チェックです。許可を取得していない業者は、悪徳業者の可能性が高いので注意してくださいね。

まとめ

いかがでしたか? 使用済みトナーの回収方法は、家電量販店の回収ポスト・メーカーの引き取り・トナー販売業者による回収・不用品回収業者・ベルマーク運動などさまざまです。また、企業・工場から出たゴミは、産業廃棄物としての回収となります。それぞれの方法とメリット・デメリットを理解することで、そのときの状況に適した処分方法が選択できるでしょう。トナーはリサイクルできるものなので、ゴミとしてではなくリサイクル製品としての処分がおすすめです。リサイクルを徹底することで、ゴミの量を減らし環境保全に役立てることができます。