捨てる快感に要注意! 断捨離のしすぎはかえって鬱になる!?

一時のブームを経て社会にすっかり定着した感がある「断捨離」。

これにはまって捨てる快感に目覚めてしまった人も多いようです。
また、最低限必要なものだけで生活をする「持たない人」たちのブログや本の人気も相変わらず高いですね。
しかし、この「捨てる快感」は果たしてずっと続くものなのでしょうか。

まずは一冊の本をご紹介しましょう。
内澤旬子著/本の雑誌社刊「捨てる女」

この本にはルポライター・イラストレーターの著者、内澤氏が自身の病気をきっかけに長年ため込んだ資料や自身のイラストなどを「断捨離」していく様子が綴られています。
しかし、すべてを整理した結果、著者は重めの鬱状態になってしまうのです。
これは今まで出版されてきた断捨離本にはありえなかった結末。
断捨離した結果得られたすっきり、さっぱりしたという感動の先におこったことを著者は正直に書きしるし、「捨てるのではなかった」と後悔しています。
なぜ、そんなことになってしまったのでしょうか。

1.思い出の品を全部捨てると・・・

「思い出の品」や「あの時の記念品」は誰にでもあるもの。
それらをすべてとっておくと新しい品物を入れる余地がなくなってしまいます。
しかし、「思い出は記憶の中だけで十分だ」とばかりにそのすべてを捨ててしまうと今度は自己のアイディンティティーを揺るがしかねません。
また、家族や夫婦の共通の思い出の場合は人によって記憶に微妙な差があります。
思い出の品はそのような差を埋めてくれる役割も果たしてくれますから、それがなくなってしまうと共通の思い出話もしにくくなってしまうかもしれません。

2.「捨てる」行為に囚われてしまうと・・・

一度捨てる快感に取りつかれてしまうと今度は「物を持っていること」がつらくなり始めます。
しまいには新しいものを手に入れた瞬間から「これをいつ捨てようか」と考え始めてしまうことも。
こうなると「何か新しいことを始めたい」と思っても、
新しいことを始める→新しい道具がいる→またこの道具たちを捨てなければならない→お金と時間の無駄になるからやめよう。
という思考に陥ってしまい、しまいには「持たない生活」を維持することだけが人生の目標になってしまうかもしれません。
それではあまりにも寂しいですよね。

3.大切なのはグレーゾーン

不要なものをいつまでも溜め込んでおく生活も良くありませんが、「今使わないもの、必要のないものはすべて無駄」という考えも危険ではないでしょうか。
自分の持っているものをすべて「今必要ないから捨てる」「今必要だから捨てない」という判断基準だけで分けてしまうと後で「あの時なんであれを捨ててしまったんだろう」と後悔しがち。
大切なのは「断捨離とは今いらないものをすべて処分するものではない」と気が付くことです。
いくら断捨離の本に「あれもこれも今必要ないからいらない、捨てよう」と書かれてあっても自分が「これはいるものだ」と思えば捨てなくても良いのです。
必要最低限のものだけですっきり暮らすのも良いですが、えり抜きの思い出の品に囲まれて暮らす生活も悪くないものですよ。